「パンのなる木」が閉店しました

「パンのなる木」閉店について

ときに、かつての塾生が集うとき、決まってこぼれ出る思い出の一節がありました。
──塾で習ったことはすっかり忘れたけど、パンがおいしかったのはずっと覚えとるよ。
「パンのなる木」は、開業以来18年、テーブルの片隅でおべんきょうのおともをしてく
れた、わたしたちのソウルフードのお店です。それは、いつまでも、いつまでもここにあ
るのが当たり前だと、私たちは思っていました。
その「パンのなる木」が、2月3日、閉店しました。
渡邊さんは現在55歳、パン職人としてまだまだ脂の乗り切ったお年頃です。
でも、資金調達の見込みが立たないため、店舗の再開や移転開業など、将来の見通し
はまったく立っていないというのです。
渡邊さんは、ただ、ただ、真面目にパンを焼いてきました。
そして、渡邊さんの焼くパンはこの町の多くの人たちに愛されていました。
正直,今の世に、こんなことが、あっていいものでしょうか?
渡邊さんがなにか悪いことをしたとでも言うのでしょうか?
私たちが本当に大切にしていたものが、またひとつ、尾道の町から喪われたようです。
地域の人たちからも、尾道を訪れる旅人たちからも、ことのほか愛されたお店
「パンのなる木」の再生と復活を、強く、強く待ち望むものです。
心に大きな穴があいたようです。今は、塾のおばちゃんがホームメイドのパンやケーキ
を焼いています。でも、私たちは渡邊さんのパンを食べたいとも思っています。
重ねて,重ねて、「パンのなる木」の復活を、私たちは、待ち望んでいます。

2025年2月28日    井上塾